舒明天皇/皇極・斎明天皇

神代(かむ)より 生(あ)れ継(つ)ぎ来れば
人さはに 国には満ちて あぢ群の 通(かよ)ひは行(ゆ)けど
我(あ)が恋(こ)ふる 君にしあらねば
昼は 日の暮(く)るるまで
夜は 夜の明くる極(きは)み 思ひつつ
寐(いね)も寝かてにと 明(あ)かしつらくも 長きこの夜を
       
                 万葉集第4巻 485番




原文
崗本天皇御製一首(并短歌) 

神代従 生継来者
人多 國尓波満而 味村乃 去来者行跡
吾戀流 君尓之不有者
晝波 日乃久流留麻弖
夜者 夜之明流寸食 念乍
寐宿難尓登 阿可思通良久茂 長此夜乎
      
現訳
神代から沢山の人が生き続き
この国には多くの人が満ちあふれて鴨の群れの様に行き交いますが
恋しく思う貴方様ではありませんので
昼は日が暮れるまで
夜は夜明けがくるまで
貴方様の事を思いめぐらせるあまりに
寝ようとして眠れるわけもなく夜を明かしてしまいました
この長い夜を







・補足・

崗本天皇

明日香岡本宮を御所にした天皇
舒明天皇か皇極(斎明)天皇の事とされている

「君」という称が男性を指す事が多い事から現訳は女性的に訳しています
あぢ

小型の鴨のこと、アジカモ
反歌 万葉集第4 486番

反歌 万葉集第4 487番





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