額田王

熟田津(にきたつ)に 船(ふな)乗りせむと 月待てば
潮(しほ)もかなひぬ 今は漕(こ)ぎ出(い)でな
       
                 万葉集第1巻 8番




原文
 後岡本宮御宇天皇代 [天豊財重日足姫天皇位後即位後岡本宮]
  額田王歌

熟田津尓 船乗世武登 月待者 
潮毛可奈比沼 今者許藝乞菜
 
現訳
熟田津(にきたつ)で、船を出そうと月を待っていると
いよいよ潮(しお)の流れも良くなってきた。
さあ、いまこそ漕ぎだしましょう!







・補足・
661年(斉明7年)
九州(那の大津/博多湾近辺)へ向かう途中、熟田津(:愛媛県松山市)に滞在し、次の出航を見計らっていた時の歌
この作品に関しては作者未詳となっていて、天皇に代わって歌を詠む歌人だった額田王が齋明(皇極)天皇の代弁として詠んだ歌と思われる
660年
朝鮮半島の百済が、新羅と唐によって侵略され、日本に支援を求めて、この支援要請を受けて軍を出立させました。
この頃、百済とは同盟を結んでいた。
熟田津

今の愛媛県松山市和気町・堀江町あたりとされていて現在の道後温泉のあたりとされている。
道後温泉は古くから皇室の保養地とされている。




 表紙   万葉集   額田王