額田王

味酒(うまさけ) 三輪(みわ)の山 あをによし
奈良の山の 山の際(ま)に い隠(かく)るまで
道の隈(くま) い積(つ)もるまでに つばらにも
見つつ行(ゆ)かむを しばしばも 見(み)放(さ)けむ山を
心なく 雲の 隠(かく)さふべしや
       
                 万葉集第1巻 17番




原文
額田王下近江國時 歌井戸王即和歌

味酒 三輪乃山 青丹吉 
奈良能山乃 山際 伊隠萬代 
道隈 伊積流萬代尓 委曲毛 
見管行武雄 數々毛 見放武八萬雄 
情無 雲乃 隠障倍之也
 
現訳
三輪山(みわやま)が奈良の山の端(はし)に隠れるまで
いくつもの道の曲がり角を過ぎるまで
つくづく見続けていたい山なのに
無情にも雲が隠してしまうなんてそんなことがあっていいのかしら







・補足・
長歌
 
667年(天智6年)
近江大津宮遷都に際し、古京飛鳥を時に詠まれた歌




 表紙   万葉集   額田王